ウサギコウモリ

富士山には、山小屋の屋根裏にちゃっかりと棲みつく「ウサギコウモリ」や、原生林に棲み、冬は樹洞で冬眠するフジホオヒゲコウモリや、溶岩洞穴に入り、初夏に繁殖する「キクガシラコウモリ」、洞穴で冬眠し、夏になるとクワ畑のクワの木にぶら下がる「テングコウモリ」などが棲んでいる。

■レーダー開発!
アメリカを初めとする欧米各国では、第二次世界大戦後、コウモリに関する軍事研究が猛烈になされてきた。膨大な研究費を注ぎ込んで、コウモリの持つ超能力を解明し、ぜひとも戦闘機なり航空母艦などの防空レーダー・システムに応用したいとする意図があった。
コウモリの超能力とは、その食物を選択して捕らえる技術である。コウモリは人間には 聞こえない高い音、すなわち超音波を発信し、あたりにある物体に当たって戻ってくる音波の中から獲物を選びだし、それを巧みに捕らえる。これをエコー・ロケーション(反響定位)というが、このシステムは電波を発射して、ものに当たって反射してくる電波を受けて、物の位置を知るレーダーと同じようなものである。

 

 ニホンカモシカ

富士山にはニホンカモシカが生息する。夏は標高2、000mあたりの森林にいることが多く、冬は1,300mくらいまでおりてくる。西斜面の滑沢〜大沢付近、北斜面の青木ヶ原、東斜面の木の根沢に比較的多い。

■野犬と激しい生存競争!
カモシカの”天敵”は、オオカミが絶滅した現在は野犬である。富士山には野犬が多い。しかも野犬の多くは捨てられた飼い犬である。野犬はたいていは単独であるが、積雪のある冬に集団をなす傾向がある。野犬がカモシカの子どもを襲っていたという目撃例もある。
人間に捨てられた犬に襲われ絶滅の危機にまで追い込まれているカモシカ。悲しいことに、人間が自然界の調和を乱す結果となっている。

 

 ムササビとモモンガ

ムササビは富士山には極めて少数しか棲息しないといわれる。しかし、吉田口の中の茶屋付近、富士宮口一合目上の国有林に棲息する。また、富士山測候所でも生け捕られた記録がある。大木の樹洞を住処としている。
モモンガも富士山では低山帯から亜高山帯に棲息するが、数は多くないと言われている。

 

 テン

針葉樹林に棲息し、青木ヶ原などに多い。東斜面の肉食類ではキツネに次いで多く、夕方、稀に目撃できる。冬には森林内で足跡をふつうに見かける。富士山頂にもしばしば現れる。

 

 ヤマネ

ヤマネはわが国特産の小獣で天然記念物であるが、富士山には多い。東斜面でも同様で、標高1,250m付近から上の混交林に普通である。カラ類用の巣箱によく入る。シジュウカラは多量のコケとカモシカ・ノウサギ・モグラ・ネズミなどの獣毛を少量運び込み産卵するが、そのころヤマネがそれを横取りすることが多い。
 冬眠も巣箱を使うことがあるが、巣箱の造りが悪いと、春先の雨で濡れ、凍死することがある。

 

 動物の写真について

撮影:中川雄三氏
プロフィール:1956年、山口県生まれ。1980年に日本大学農獣医学部卒業とともに山梨県に移り住み、仕事のかたわら独学で写真撮影を学ぶ。1987年、平凡社・第四回アニマ賞受賞。1991年より動物写真家として独立、富士山周辺の身近な自然を記録するとともに、自然保護活動にも力を注いでいる。著書に「富士山麓の仲間たち」「カワセミの四季」「富士のすそ野のメダカ教室」など多数がある。現在、環境庁自然公園指導員、NPO法人富士山クラブ理事。
引用:株式会社クレオ刊 「日本のこころ 富士山」

 

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